【おいしさをつくる『熱』の科学】を読み解く
まず、料理をする上で食材そのものの質だけでなく、「熱」の使い方が味や食感を大きく左右します。
しかし、日常の調理で熱の伝わり方、その効果について考える機会は少ないかもしれません。
今回の記事では『おいしさをつくる「熱」の科学』をもとに、煮る・焼く・茹でるなどの調理法における熱の伝わり方や科学的な仕組みをご紹介します。
著書:佐藤 秀美さん

熱の基本:料理における熱伝導の役割
調理とは「食材を加熱し、化学反応を引き起こす」プロセス。
この加熱には主に「熱伝導」「対流熱伝達」「輻射熱」が関与します。
- 熱伝導
- 食材に直接触れる鍋やフライパンを通じて熱が伝わる仕組み。
金属製の鍋は熱伝導率が高く、加熱が均一に進みます。
一方、土鍋などは熱伝導率が低いため、ゆっくりと熱が伝わるのが特徴です。
- 食材に直接触れる鍋やフライパンを通じて熱が伝わる仕組み。
- 対流熱伝達
- 液体や気体(例、水や油)の流れによって熱が移動します。
煮る、茹でる、揚げるといった調理法。
- 液体や気体(例、水や油)の流れによって熱が移動します。
煮る・焼く・茹でる:調理法ごとの熱の伝わり方
煮る(対流熱伝達の代表例)
鍋の底で加熱された液体が上昇し、冷たい液体が沈む「対流」によって食材が加熱されます。
ポイント
- 温度が90〜95℃の状態で煮込むと、肉や野菜の繊維がゆっくりと分解され、柔らかく仕上がる。
- ※沸騰させすぎると繊細な食材が崩れることがある煮込み料理は低温で長時間行うのがポイント。
s1nya.22例えば、肉類の煮込み料理も繊維が程よく溶け、適度な食感を保つ事や、噛んだ時に旨みが残る事、煮加減はその鍋の中の状態を注意する事。
ポイントでは長時間と記載してありますが…
仕上がりのイメージを持ちながら温度帯や鍋の状態、時間を決める事をオススメします。
焼く(伝導熱と輻射熱の融合)
フライパンやグリルを使用する調理法。特に肉を焼く場合、表面が高温になり「メイラード反応」が起き、香ばしさとコクが生まれます。
ポイント
- 初めに高温で表面を焼き固めることで、内部の水分が逃げにくくなります。
- 焼き加減を調整する際には、食材の厚さと火加減を意識することが重要。
茹でる(対流熱伝達+熱浸透)
沸騰した水の熱が対流を通じて食材に均一に伝わります。
特にパスタや野菜の調理で用いられる方法です。
ポイント
- 塩を加えることで沸点が上昇し、食材の茹で時間を短縮する効果があり、茹でた後の急冷は、食材の余熱調理を止め、歯ごたえを保つのに役立ちます。
(浸透圧とは?)- 2つの濃度が異なる液体が半透膜を介して隣り合ったときに、濃度を一定に保とうとして水分が移動する圧力。
- 半透膜とは、水は通すが、塩などの分子やイオンは通さない膜のこと。
- 色鮮やかに仕上がる。
蒸す(蒸気熱伝達)
蒸気を使うことで、高温の熱が短時間で食材に均一に伝わります。
栄養素の流出を防ぎ、素材本来の風味を引き出せる調理法。
ポイント
- 野菜や魚などの繊細な食材に適しており、型崩れになりにくい。
- ボイルに比べ、風味、味わいは良い。
調理後の色の鮮やかさ、食感はボイルの方がバランスが取りやすい。 - 魚などは加湿しながら火が入っていくのでしっとり仕上がりやすい。
※蒸気の量の調節が大切。
- 蒸しのメリット
- 上記にも記載のとおり、栄養素の流出しにくい。
- 蒸気(ミスト)により、熱伝導が早く、同時に加湿しながら火入れが可能。
揚げる(伝導熱+対流熱)
油の中で熱が対流し、食材全体を包み込むように加熱します。
外はカリッと、中はジューシーに仕上げるのが揚げ物の魅力の1つ。
ポイント
- 油の温度が高すぎると外側だけが焦げて中が生焼けになるため、温度管理が重要です。(目安:170〜190℃)
- 衣を纏わせながら蒸し焼きのイメージ、レアな食感のコントラストを外側、内側の温度差のギャップにより生み出す事が可能。
(一朝一夕ではなく日々の探究が大切です。)


熱のイメージ図


温度が味を左右する理由
熱は食材を柔らかくしたり、風味を引き出したりと多様な役割を果たします。
以下は代表的な温度帯と調理効果です:
- 低温加熱(60〜80℃)
肉の低温調理では、ジューシーな仕上がりが得られます
タンパク質が凝固する温度を活用します。 - 高温加熱(150〜250℃)
焼き目をつけたり香ばしい香りを出す際に重要です
パンやお菓子の焼き上げで役立ちます。


日常調理で使える実践ヒント
- フライパン選び
熱伝導率の高いフライパン(例:鉄製や銅製)を使えば、焼きムラを防げる
初心者にはアルミ製の多層鍋もおすすめ。 - 温度計を活用
肉や揚げ物の仕上がりを正確に管理するために、キッチン温度計を導入してみましょう。
まとめ
料理は「アート」と「科学」の融合とも感じます。
『おいしさをつくる「熱」の科学』を通じて、調理における熱の役割を理解することで、日常の料理がさらにおいしく、楽しく、学びがあります。
ぜひ一度、この本を手に取り、日常のキッチンでその科学を体感し、料理してみて下さい。
自身が大切にしているポイント(料理人目線)



・火の入り方や熱伝導をイメージしながら調理すること。
・素材選びとその調理法の組合せ方。
(素材の良さが引き立つ選択)
・数字や時間ではなく、素材の状態を把握する。
(ただし、基準としてタイマーや芯温計は基準として覚え、感覚的に覚えていく事)
最後までご閲覧 Merci ございました。
s1nya.22













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