【発酵】とは?自然に寄り添う食文化

『発酵』の哲学
“温度帯の環境”と”食文化”が学びのポイント

スピードと効率が正義になりがちな時代に、料理だけはどうしても「時間」を抜きに語れないと感じます。

火入れ、混ぜる、寝かせる。実は発酵調理の一連の中で、待つことがいちばん人間的で自然体な行為だと感じる瞬間がある。

発酵文化は、保存技術である前に、環境に適応する手段であり、その国や地域の伝承や文化が反映され、それらが「生き方」そのものだったりと感じます。

今回の記事は”発酵のポイント”や自身の経験や”調理の知識”などを織り交ぜながらご紹介致します。

目次

「発酵」とは?

発酵」とは…
目に見えない微生物(酵母や乳酸菌など)が、食べ物の中で働いて新しい風味や栄養を生み出す現象のこと。

“パンがふくらむ”、”味噌が熟成する”、”ワインができる”…etc

これらはすべて、微生物が糖やたんぱく質を分解し、”人の手では作れない変化”を生み出している状態です。

発酵は、単に「腐る」とは違い…
微生物が人にとって良い方向 へ働くことを指します。

結果として…

  • 保存性が高まる
  • 香りや旨味が深まる
  • 栄養価が上がる

といった効果が生まれます。

つまり、発酵とは「時間と微生物がつくる、自然の魔法」のような現象。

料理人や醸造家はその魔法を導く“環境を整える人”と謙虚に捉える。

そして、発酵というワードの探求や思考には常に1つのワードが繰り返されている…

それが “Culture” =文化

「見守る力」発酵のコツ

発酵は、こちらが少し手を離してから始まる。

調理する人、造り手にができるのは「その環境を整えること」

ポイント

管理がされているもの=発酵

管理がされてないもの=腐敗

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正直、発酵や酵素などの働きはグレーゾーンの領域で判断基準が曖昧なのが現状です。

自身や環境の管理に厳しく、向き合う姿勢が大切で一番需要なことと思います。

発酵によるメリット

健康・栄養面のメリット

  • 消化吸収が良くなる。
    発酵によってたんぱく質や糖質が分解され、身体に吸収しやすい。
  • 腸内環境の改善。
    乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が腸内で増え、腸内フローラを整える。

    免疫力向上や便通の改善。
  • ビタミン・ミネラルが増える。
    発酵の過程で微生物がビタミンB群やビタミンKなどを生成。

保存性・調理性のメリット

  • 長期保存が可能。
    微生物が増えることでpHが下がり、腐敗菌の活動制御。

    漬物、味噌、酒、干物など、冷蔵技術がなかった時代の知恵でもあります。
  • 食材の新たな活用。
    発酵によって“副産物”が生まれ、廃棄するはずだった食材を再利用。

味覚・香りの向上

  • うま味の増加。
    発酵でアミノ酸(グルタミン酸など)や有機酸が生成され、旨味の形成。
    (味噌や醤油、チーズ、ワインなどに共通する「コク」や「まろやかさ」はこの効果)
  • 香りの複雑化。
    酵母や乳酸菌が生み出すエステル類やアルコール類が“芳醇な香り”を形成。

環境・文化的なメリット

  • 持続可能な食文化の形成。
    発酵は“保存”と“循環”の知恵。
    冷蔵・冷凍に頼らないためエネルギー消費が少ない。
    地域の微生物(テロワール)が関与し、土地ごとの発酵文化が育つ。
  • 地域資源の価値化。
    地元の米・野菜・果物・大豆などを発酵させることで“地域の味”が生まれる。

    静岡なら、みそ・ぬか漬け・地酒・お茶発酵飲料など。

北欧と日本、共にリスペクトし合う食文化

日本も同じく古来より発酵文化の国であり、味噌や醤油、納豆など代表される発酵文化があります。

その中でも…

旨味(umami)という独自の価値を育んでいます。

料理では、シンプルな料理に旨み(umami)を加えたり発酵の働きによる香りも生まれます。

シンプルでありながら深みや複雑性が生まれ、奥行きが発酵から生まれると感じます。

驚いたことは、日本では北欧の文化に興味があり、北欧では日本の発酵文化や出汁などの旨み(umami)にとても興味を持っていたこと。

互いにリスペクトがあり、日本にはもうすでに発酵の文化が形成されていて、僕自身は外にばかり目を向けてしまっていたことで改めて日本の文化や北欧の文化、文化や伝承により興味や関心が生まれたこと。

自身の経験から

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北欧では、長い冬を超えるために「発酵」が暮らしと密接に関係していました。

僕もデンマークのレストランにいた時、Pop upの中で “Restaurant A.T” の田中 淳シェフともお話ししながら仕込みをする時がありました。

< なぜ?北欧はこんなに発酵する工程や技術がが多いのか?
< 生きていくのに必要な知恵と文化そのものだと思うよ!

とそんなやりとりが凄く腑に落ちた感覚でした。

四季や自然の中変化の中に自然そのものと対話があり、調和、共存などの様々な思考やアイディアが生まれるとも感じます。

僕は当時、一冊の本『発酵の技法』を持っていき、日々の生活の中で実際に北欧に触れ、肌で感じたことは…

“発酵”とは人とその狭間の物事、生物と調和し、共存していくこと=生き方、文化そのもの。

と感じました。

なぜ?『発酵』が起こるのか?

発酵を理解するうえで大切なのは…

なぜ発酵が起こるのか?」という仕組みを知ること。

基本の温度帯は 20°C 前後 と覚えておくといいと思います。

発酵における 塩、砂糖、蜂蜜の役割

  • 発酵によるの役割
    • 腐敗菌の繁殖を抑え、有用な発酵菌(酵母、乳酸菌など)が活躍できる環境を整える
    • 基本の塩分濃度、総量の1.5% 2%
  • 発酵による砂糖の役割
    • 酵母の栄養源となり発酵を促進すること。
      (厳密には砂糖が酵母の餌となり活性化すること)
  • 発酵による蜂蜜の役割
    • 発酵を促進する役割と抑制する働き、両方の役割を担います。

必ず空気中のバクテイアを入れるようにすること。
(理由としては、菌の活性化と北欧では教えていただきました。)

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そもそも、発酵とは自然とともに生きるための知恵であること。

国々やその地域文化と密接に関係していること。

技術も大切ですがこういう文化面などを学ぶことがとても大切と感じます。

温度帯と酵母による『発酵』の違い

以下の表は、代表的な発酵の種類とその温度帯・特徴をまとめたものです。

発酵の種類主な微生物温度帯特徴・例
アルコール発酵酵母(Saccharomyces属)15〜30℃前後。糖をアルコールと二酸化炭素に変換。
ワイン・ミード・日本酒など。
乳酸発酵乳酸菌(Lactobacillus属など)20〜45℃前後。酸味と保存性を高める。
ヨーグルト・キムチ・味噌など。
酢酸発酵酢酸菌(Acetobacter属)25〜35℃。アルコールを酸化し酢酸に。
ワインビネガー・バルサミコなど。
酵母+乳酸複合発酵酵母+乳酸菌18〜28℃前後。コンブチャや天然酵母パンに多い。
香りや風味が複雑に変化。

発酵の温度が低すぎると菌の動きが止まり、高すぎると死滅する。

料理人や醸造家にとって大切なのは、「手を出しすぎず、環境を見守ること」

少し、子育てと似ている印象でそこには、発酵文化や人間的な優しさの”本質”があると感じます。

発酵とフレーバー / ミードとコンブチャ

実際に働いた北欧では春先、森やガーデンで自然の花々が開く瞬間を見計らって収穫を行います。

それらは収穫の基本であり、人間の生き方そのものとも感じる瞬間でもあります。

蕾や開花初期は栄養価が高く、香りと味わいが最良な瞬間でドリンクの味わいにも左右します。

そのエッセンスを活用し、ミード(蜂蜜酒)やコンブチャといった発酵飲料に閉じ込める。

発酵は保存であり、同時に再生でもある。

時間をかけるほどに味わいの経年変化も生まれるナチュラルワインの様なドリンクでもあります。

収穫後の使い切れなかった花や果実、使用後の絞りカスなどはコンポストへ土に還し、循環サイクルが完結する。

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こちらのドリンクは

苺🍓 × カモミール🌼

キウイ🥝 × カモミール🌼

カモミールは家庭菜園のものと紅茶の茶葉などを使用しています。

ミード(Mead)

ミード(Mead) とは、ミードの歴史はワインやビールよりも古く、14000年以上前に人類が出会った「最古の酒」。

蜂蜜と水と酵母菌を発酵させてできあがる「醸造酒」。

コンブチャ(Kombucha)

コンブチャ(Kombucha)「紅茶キノコ」という名称でも知られる発酵飲料です。

原料の紅茶(お茶などのフレーバベース)+砂糖をベースに、「スコービー(scoby)」と呼ばれる酢酸菌と酵母からなる菌株(1つの細菌から分裂増殖した菌の集まり)を入れて発酵させてつくります。

下に沈殿しているのがスコビー

自然派ワインという“いま”を信じる姿勢

自然派ワインにも同じ哲学を感じます。

ぶどうの個性をそのままに、畑と微生物、自然の中で発酵を見守る。

化学的な正解ではなく、今という瞬間に 僕のテーマである「自然」「調和」「共存」は、こうした生き方から強いインスピレーションを受けています。

自然派ワインに惹かれるのは、味の複雑さよりも、その生き方

農薬や添加物を極力使わず、ぶどうと酵母が自然のリズムの中で発酵していく。

それは「管理」ももちろんですが、ぶどうや環境、信念を信じる「信頼」に近い。

ミードが“始まり”を象徴し、コンブチャが“共存”を表すとすれば、 自然派ワインはその延長線上にある“循環する哲学”ともいえます。

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発酵とは、味をつくる行為ではなく、自然と人間が互いを理解しようとする時間そのものとも捉えられます。

発酵という、生き方のデザイン

発酵とは文化であり、時間の経過とともに変化する最高の調味料。

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自然と人間が共に息づくように、 僕自身もまた、ゆっくり発酵し変化するかのように…

店舗の “INNOCENCE” では、その静かな循環的な思考やアイディアを大切にしています。

まとめ

最後に、「発酵」とは味わい、栄養価の向上やその国々の文化や人々の暮らしや環境、自然と調和や共存をもたらす表現だと感じます。

味わいの未知へ可能性やその探究にはとても興味深いです。

料理では、調理過程や食材どこか発酵させればおいしいという表現だけではなく、その文化や伝承、その造り手など様々な生き方そのものを表現する調理方法ともいえ、新しい味わい、未知への可能性も広がります。

日々探求し、少しでも料理、その表現の幅が広がるキッカケになればと思います。

最後まで、ご閲覧 Merci ございました。


『発酵の技法』とノーマ発酵ガイド

発酵を「食の技術」ではなく「文化と哲学」として読み解く一冊。

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僕も北欧で生活していた時に持参した本になります。

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この記事を書いた人

自然 / 調和 / 共存 / 自由 / 無垢

Innocence

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