藁アート×サステナブル、稲わらが紡ぐ共生の物語

藁アーティスト Straft|一本の稲に宿る、共生という在り方

先日、藁(わら)という素材と真っ直ぐに向き合い続けているアーティスト、Straft(ストラフト)さんとあるイベントを通じお話をする機会をいただきました。

Innocence というレストランが目指す「自然」「調和」「共存」「自由」「無垢」

このテーマは、実は僕たち料理人だけのものではありません。

異なる分野で、異なる素材と向き合っている。
それでも、同じ根っこの思想には、自然や人との共生という表現があります。

Straft さんとの対話は、僕自身すごく興味深い内容で、自然との向き合い方や伝統やサステナブルな視点の表現などにすごく可能性を実感させてくれるものでした。

目次

コンセプトベース

Straft(ストラフト)さん Instagramリンク

Straft(ストラフト)さん HPリンク

米を収穫した後に残る稲わらを主な素材として扱う。

自然素材のありのままの美しさに、現代的な感覚を取り入れた作品を制作しています。
さらに、縄文時代に自生していたとされる古代米・赤米の栽培も行っています。

かつての行商文化に習ったお正月飾りの路上販売なども実践し、クラフトの枠を超えて多岐にわたって活動しています。

植物の持つ生命力をいかして栽培を行う自然農法を通じて得たインスピレーションをもとに制作した作品を発表されています。

人々が食べるもの、その副産物から作品を創る

Straft さんの作品の出発点は、とてもシンプルで、そして本質的です。

自分が日々口にしているもの…

「お米」、その副産物である藁を素材にスポットを当て作品を1つのストーリーとして創り出す。

これは単なる「エコな素材選び」という話ではありません。

自分の身体を作っているものの延長線上に、表現があるということ。

食べること、生きること、表現を具現化し、ストーリーを創り出す、素敵な”在り方”です。

料理人である僕にとって、これはすごく興味深く、すごく興味が湧きました!

料理人も食材を切り、火を入れ、皿に盛る中で、常に「生き方の本質とは何か?」「在り方とは何か?」を問われている気がします。

Straft さんはその問いを、藁という一本の素材を通して、生き方、在り方を表現している様でした。

アーティストからの社会貢献の目線

Straft さんの視点は、藁そのものだけでなく、その先にある「お米」という日本らしい食、そして稲作という伝統的な技法、さらには日本人が長らく大切にしてきた原点回帰的な在り方にまで広がっています。

作品を通して、社会との繋がりそのものを表現する。

そしてもう一つ印象的だったのが、「普段、人が気にも留めないような、何気ないもの」に光を当てるという姿勢。

田園風景の中で当たり前に存在している稲や藁、その背景にある価値を掘り起こし、新しい形で世の中に提示する。

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料理人の視点では、野菜の皮や茎、普段捨てられてしまう部位にスポットを当て「おいしさ」を見出そうとする視点と重なります。

実際に、料理人とアーティストのクリエイティブな視点は、思っている以上に近いのかもしれません。

作品、ストーリーを生み出すためのアイディア

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どこから作品のヒントを得るのか?

Straft さんが作品を生み出す過程についても伺わせて頂きました。

今日は1日、ボールペンのインクがなくなるまで書き続ける。

紙とペンも持ち出し、アイディアを重ねながら描き続ける。

その後、書いたアイディアを広げ、全体を見渡しながら、そこから生まれたものをブラッシュアップし、1つの形へ、あるいは次のアイディアへと繋げていく。

この話を聞いたとき、僕は自分自身の仕込みや試作の時間を思い出しました。

手を動かし続けること、量を重ねること。

その先にしか見えてこない「答え」があったりします。

頭の中だけで完結させず、常に身体を通して掴み取っていく姿勢は、ジャンルを超えて共通する”ものづくりの本質”なのだと思います。

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ここには、労働時間とか社会的視点、コンプライアンスとか関係なく、

圧倒的な”好き”という熱量と情熱
と
その仕事(私事)が夢中になれる楽しさと生き方が共存している様にも感じます。

素材活かす視点

料理人と藁アーティスト|部位を活かすそれぞれのアプローチ

とりわけ深く共感したのが、「部位を活かす」という視点でした。

料理人である僕は、

  • 野菜であれば茎、花、根といった一つひとつの部位に、それぞれ異なる食感や味わい、可能性を見出しながら調理法を考えます。
  • Straft さんは、一本の稲を穂先から茎の根元まで見つめ、稲の特性を活かした、その硬さ、しなやかさといった植物の特性の違いを丁寧に読み取りながら、作品へと昇華させていく。

「食」を通じた素材。

向き合う対象は違えど、「その一つの命の中にある多様性や可能性を余すことなく活かしきる」という姿勢は、すごく共通するものがあると感じます。

稲の選択(米の品種)

お米の原種としての特徴。(稲の作品の軸となる品質、品種の特徴)

旭(朝日)も亀の尾も、稲の背が高い「長稈(ちょうかん)」という特徴を持っています。

この背の高さゆえに肥料を使うと倒れやすく、脱粒(実が落ちやすい)という弱点もあり…

近年では、効率化・機械化を追い求める現代農業の中では次第に姿を消していった食の背景も存在しています。

 昔の日本人が愛したお米の味わい 引用リンク

「収穫効率としては弱点」とされたその背の高さこそが、藁細工にとっては良質な作品創りの資源という視点。

茎が長く伸びるからこそ、綯う・編むための「しなやかさ」と「長さ」が生まれる。

※現代品種は倒伏を防ぐために背丈を低く改良されてきた分、藁としての使い勝手や質感は、旭や亀の尾のような原種に及ばないとも言われています。

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食味の面でも、

“亀の尾”はその独特の風味と食感から料理人や食通に愛され、和食との相性が良く寿司米としても評価が高いこと。

旭(朝日)は粘り気が強く豊かな甘みとコクが特徴の1つ。

そして、冷めても美味しいという性質を持っています。 

昔の日本人が愛したお米の味わい 引用リンク


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実際に、この旭(朝日)、亀の尾といった在来種を、農薬・肥料に頼らず自家採種で育てている生産者が、地元静岡県内にいます。

静岡県袋井市で江戸時代から代々続く米農家 “あぐり佐野“さん。
元看護師の文菜さんが、医食同源の考えのもと、自然栽培で在来種の種を紡ぎ続けています。

あぐり佐野さんの想いや自然栽培への取り組みについては、以前体験から想いなど沢山お話を伺った記事があります。

資材の再利用(リユース)

イベント終了後の片付け時、資材は一度、チェックしリユースへ♻️

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現在では、材質や簡略化で使い捨てが多い世の中ですが…

同時にここの視点も素敵でStraft さんは一度、材質をチェックし2次加工できるのやそのまま使用できる形のものと資源(命)を無駄にしません。

一緒に片付けをしていく中で、この視点は現在の時代に対し、とても大切な事です。

原点回帰やこの思考の在り方にこそ、価値が宿り、文化的な視点からも日本らしさを同時に感じます。

創生した作品から、その後の資源の再利用まで、在り方の価値が最後まで美しく、洗練されています。

 

共生の視点でのリンク

この「お米=稲」原種の話は、記事の中で次のような接続点になると考えています。

  • 料理人 × 生産者 × アーティスト|三者が同じ一本の稲を見ている共通の視点。
    実(米)を見る料理人、粒の味わいを追う生産者、茎(藁)の特性を見るアーティスト。
    • 旭や亀の尾という一本の稲は、その全身が「効率」ではなく「本来の姿」を残しているからこそ、三者それぞれの価値を同時に創造へ昇華できる視点。
  • あまり利用されない物にスポットを当て、作品として実は多様な価値の源。
    • 現代品種の倒伏しやすい、脱粒しやすいという、近代農業が切り捨ててきた性質こそが、藁の長さやしなやかさ、米の滋味深さを生んでいた。

      表現を通し、厳守である視点、農業の現在地、料理人の視点、様々な在り方は「原点回帰」という生き方のテーマと重なります。
  • 原種を選ぶこと自体が、共生的な選択である
    • 効率のためだけに品種を選ぶのではなく、米も藁も、両方の価値を活かせる原種を選ぶ生産者がいて初めて、原点回帰の在り方が成り立つ。
    • ここに料理人・アーティスト・生産者の間の「点と点を結ぶ紐」が創生される。
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Innocenceが掲げる

自然と共にあるからこその、調和、共存、そこには自由な表現があり、その1つ1つの行動は「無垢」直向きさの基に成り立つ。

「原点回帰」な生き方、在り方という価値の創造に重なります。

文化的視点|日本古来の編み方 × 時代に合った表現

Straft さんの作品には、日本古来の編み方という技法が息づいています。

日本の藁細工の伝統技法

藁細工は用途によって技法が分かれていて、

大きくは、

  • 「綯う」|縄類
  • 「編む」|履き物や笠、蓑、俵など
  • 「織る」|むしろなど

の3つに大別されます。

さらに細分化すると、「道具編み」と「手編み」があり、俵などは道具編み、笠や蓑は手編みで作られます。

 藁を知る、藁に親しむ より引用

しめ縄などに使われる「縄を綯う(なう)」技法は、藁を足の指と両手のひらで挟み、撚り合わせていく手仕事です。

原点回帰的な日本の文化的な在り方を土台としながら、それを今の時代に合った現代表現へと昇華させる。

この姿勢は、詳しくは下記の展示情報でもご覧いただけます。
↓
DESIGNART TOKYO 2024 |Straft さん出展情報 HPより引用

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僕自身は、料理人という立ち位置から、この様な素敵な表現に対して「食」というバックグラウンドや様々なストーリーをお米農家さん、アーティストさんとの新たな繋がりをみんなで創生していきたいと考えています。

どのポジションでも、自然と共生する考えがある

生き方、在り方の共生

料理人、藁アーティスト、農家さん、様々な生産者、立場も専門もまったく異なる人たちが、それぞれの現場の視点から「自然と共生する」という同じ思想に辿り着いている。

まるで、点と点を一本の紐で結んでいくように。

Straft さんとの対話は、僕のInnocence が掲げる「調和」と「共存」というテーマそのものを、藁という素材を通して体現、表現しているのを感じ、一つの命を余すことなく活かすこと。

当たり前にあるものの価値を見つめ直すこと。

原点に立ち返りながら、”今の時代を作品として言葉で表現する”こと。

これからも、こうした異なる分野の創り手の方々との繋がりを大切にしながら、レストランという場から、循環し、共生していく社会の在り方を発信していきたいと思います。


なぜいま稲わらなのか? 素材が宿す象徴性を現代に編み直す | 山野アンダーソン陽子さん × Straft・石井珠樹さん 
デザインの手前
 より引用

空間との共生

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1つのアートの様な、雰囲気に自然と溶け込み、細部にストーリーを感じるような作品がとても素敵です!

ファッションとの共生

藁バード created by Straft  Straftさん × アークテリスク

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ファッションと稲 × アート作品
自然を愛するアウトドアブランドと自然や共生を表現するStraftさんの作品は一貫性や自然との在り方を現代的な解釈で発信しいる様で、すごくカッコいいです!

まとめ

Straft さんとの対話やさ作品を通して感じたことは、

藁という一本の素材が、アーティスト、生産者、料理人、それぞれの手の中で違う表情を見せながら、実は本質は繋がっているということでした。

あぐり佐野さんが土から紡ぐ種

Straft さんがその藁から編み上げる形

そして僕たち料理人がその”米”や”稲”を皿の上に料理として表現すること。

立場は違っても、

向き合っているのは同じ一本の「稲=米」であり、「自然」という循環の中にいます。

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効率のためにそぎ落とされてきたものの中にこそ、本来の豊かさが眠っていること。

そのことを、旭(朝日)や亀の尾という原種の自然栽培、Straft さんの作品や取り扱う稲の在り方も、静かに自然に寄り添う様に発信しています。

Innocence のテーマ

「自然」「調和」「共存」「自由」「無垢」という表現は、料理人だけで完結するものではありません。

土を耕す人、素材と対話する人、それを食卓に届ける人。

それぞれの職人の手が、点となり、一本の紐のように結ばれていく。

こうした異なる分野の人々との繋がりを大切にしながら…

地元静岡という土地から、循環し、共生していく社会の在り方を…

料理や生き方を通して発信し続けていきます。

最後まで、ご閲覧 Merci ございました。

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原点回帰なテーマ

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この記事を書いた人

自然 / 調和 / 共存 / 自由 / 無垢をテーマに

Chef at Restaurant Innocence(静岡県内にて開業準備中)

フランス・デンマーク・東京の現場で経験を積み、地元静岡へ

Le Pont de L'Ouysse(フランス・ミディ=ピレネー)
L'Auberge des Glazicks(フランス・ブルターニュ)
La Table de Joël Robuchon(東京)
AMASS(デンマーク・コペンハーゲン)
Simples、Caravin(静岡)を経て、現在は自身のテーマを軸にしたレストランの実現へ向けて準備中。

一皿の裏側の「食」バックグランドを
様々な造り手さん、生産者さんの想いや思考、自身のサステナブルな「食」の在り方、料理人の生き方を無垢に発信しています。

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